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  • 戸田京子

不快感を感じ取れていますか?

宗教二世さんは幼い時から教義に従う習慣を身につけさせられています。ここで言うのは、宗教一般ではなくて、問題の多い宗教のことです。問題の多い宗教とは何かというと、人間の自然な在り方に対して素直でない宗教のことです。


例えば、私たちは幼少期、まだ情緒も身体の感覚も分化しない、自分と他人との分別もつかない時期を過ごします。そんなとき、不快であれば泣いてぐずります。親(養育者)は不快さや泣き、ぐずりに対応して、世話をしてやったり、あやしてやったりします。そうすることによって子供は、この不快さを表現しても大丈夫、自分を守ってもらえる、という感覚を身に着けます。


また、もう少し大きくなると、親以外の人間関係に興味をもちます。一緒に遊びたいな、仲良くしたいなと思います。


それに、自分の好みが出てきて、これがやりたい、これが楽しい、これが好き、という指向性も出てきます。


さらに大きくなると、恋愛感情を抱くようになります。ほのかに誰かに憧れたり、性的な感覚や反応も生じるようになります。


こんなふうに、私たちは成長するにつれて様々な経験をするようになります。それは生理的なものであり、自然なものであり、人間を司る、とても重要なものです。


ところが、問題の多い宗教では、これを不自然に教義という理屈をもって抑えつけます。つまらない集会に飽きて遊んでしまったり、寝てしまったりするのは子供の自然な在り方ですが、それに対して罰を与えます。お友達と仲良くしたいという子供の自然な欲求に教義の枷をかけて、(宗教以外の子と)遊んではいけないと言います。こういうことが楽しい、やりたい、勉強したいという思いに制限を掛けて、宗教がよいと言ったことにのみ従わせようとします。ほのかな恋心にあらかじめ釘を刺して、そんな気持ちや行動は罪だと罪悪感で縛ったりします。


つまり、問題の多い宗教の問題の所以は、自然な在り方に逆らっていることだと私は考えます。教義で欲求を抑え込んでも、自然に反したことを行っているのですから、何かしら問題は出てきます。見ない振りはできても、歪みが生じたり、あらぬ形で暴発したりします。


例えば、心身症という病があります。頭痛や腹痛など身体の症状が出るのですが、内科などの身体科を受診しても、問題はないと言われてしまいます。でも、症状は収まりません。ようやく心療内科を受診して、それは精神的ストレスから来ていると診断されたりします。そう言われて、ようやくストレスを自覚する人もいれば、それでも自覚できない人もいます。後者は、相当根深いものを抱えています。嫌だという自分に対する警告サインを感じ取れない心身が作り上げられてしまっているからです。


嫌だと感じ取れないのは、生き物として、人間として嫌だと感じ始めた段階の初期に、何かしらの事情でそれを抑え込まれた可能性があります。事実として不快な感覚や感情が生じていても、頭=理屈=教義でダメだと教え込まれ、その感覚が意識下に潜ってしまったのかもしれません。そうであれば、心身に負担がかかる状態であるにもかかわらず、自分がダメなのだと罪悪感で自分を奮い立たせ、余計に状態が悪化するという悪循環を辿ります。あなたの宗教のメンバーに故障者が多いのであれば、まさにその状態に陥っていると言えます。


しかし、このような宗教はまた、人に優劣をつける病理を抱えているので、人を裁かずにはいられません。だから、故障やつまづきを見せたりすれば、さらに傷口に塩を塗り込まれる羽目に陥ります。残念ながら、一旦できてしまった集団ダイナミズムは、個人で立ち向かえるほど生易しくありません。人の意見に耳を傾けられないので、「私は正しいのだ。なぜなら私は正しいからだ」と循環論法が繰り返されるだけです。そこに、弱さに寄り添う発想は生まれません。だから、逃げるのが賢い選択なのです。


このように、問題の多い宗教は教義で人間の自然な在り方を圧し潰すので、それに慣れてしまったり、その環境で育ったりすると、自分の自然な在り方自体に気付きにくくなっている可能性があります。教義で抑え込まれた罪悪感が強いので、それをはねのけるにも正当な理由がなければならないと思ってしまいがちですが、それは順番が逆です。まず、自分の自然な状態に耳を傾けましょう。嫌だと思っている、不快だと思っている感覚に目を向けましょう。そして、教義、理屈で迫ってくる輩に巻き込まれないよう、心理的距離を取りましょう。宗教二世さんの場合は、それが親なので難しい局面に立たされますが、心理的距離から始めることはできると思います。すぐに反論を始めるのは、上記のように相手が追い込んでくるリスクが生じるので、静かに、自分の心が定まるように、まずは自分を見つめてみませんか?



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